通変星は10種類ありますが、古い四柱推命の考え方では、通変星を吉星と凶星の2種類に分けていました。
吉星は、食神・正財・偏財・正官・印綬。
凶星は、劫財・傷官・偏官・偏印。
とくに、四大吉星と言われていたのが、食神・正財・正官・印綬です。
四柱推命の吉星とは?
四柱推命は、その昔、政(まつりごと)に使われていたものです。
もともとは、国を勝たせる戦略を練るために使われていました。
そのため、王に仕えてしっかりと働く人材や官職に就ける人が、良い人物とされていました。
ルールに逆らわず、任された仕事をきっちりできる人が有能だと言われていたんですね。
封建社会の上で成り立っていた占い・学問なので、
安定・堅実・確実な収入・名誉・勲章
などが、善とされていました。
逆に、自由奔放な人、自分勝手な人、我が強すぎる人はいらない、邪魔な存在だったわけです。
そして、安定的で真面目できっちり君主に仕えることできたのが、
正財・正官・印綬のような星を持つ人。
だから、今でも正財・正官・印綬は吉星と言われているんですね。
吉星・凶星の考え方は古い
昔の政治の観点で見て、良い星か?悪い星か?を分類していたわけですから、現代で考えると、この吉星・凶星の考え方は、実用的ではありません。
今は、昔と違って民主主義だし、色々な仕事があって働き方も、生き方も多種多様化しています。
コロナによって世の中が変わり、さらに風の時代に入って、この先ますます、枠に縛られない自由化が進んでいくでしょう。
だから、昔は吉星だと言われていた正官・正財を持ってなくても、成功したり、お金をたくさんに手にすることだってできるわけです。
最近は、Youtuberなども当たり前になって、自分のセンスや独自性で稼ぐ人が増えています。
凶星と言われていた、傷官や偏官、偏印を持っている人の方が、活躍できる時代です。
実際、芸能人やスポーツ選手など、華やかに活躍している人は偏印を持っている人も多いですからね。
吉星・凶星で見るのは今の時代では、もう無意味ということです。
四柱推命の解釈も、時代に合わせて変化させていく必要があります。
傷官は凶星?
凶星の代表格とも言われる、傷官。
傷官は、日干のエネルギーを盗んで生まれる星とされ、別名「盗気」とも呼ばれていました。
通変星の関係で見ると、官星を剋する位置にあります。
同じ陰星同士の、正官を剋することから、傷つける官という名前がついています。
正官は吉星とされ、真面目できっちりルールに従って行動する星。
自我を抑えて、しっかりと管理していく力がある星です。
だから、その正官を傷つける傷官は、凶星とされていました。
でも、傷官は日干から生み出される関係ですから、逆に言えば日干のエネルギーを大いに受け継いで、エネルギー循環させていることになります。
そのため、傷官の星を持つ人は、頭の回転が早く聡明です。
言葉が鋭かったり、批判的という特徴もありますが、それは頭の回転が早いからゆえなんですね。
同じ食傷星でも、食神と比べると、はるかに情報処理スピードが速く、頭脳のキレの良さを持っています。
偏官は凶星?
偏官は、日干を剋す通変星です。
同じ官星でも、正官は吉星ですが、偏官は官殺とも呼ばれる凶星とされてきました。
日干の働きを抑えつけるような働きをし、荒々しさがあります。
陰星である正官は、自我の星である比肩を押さえつけるまではできません。
統制するとか、真面目さをプラスする程度の力です。
でも、偏官は比肩と同じ陽の星なので、剋す力が強いです。
自我を叩き潰す、黙らせるようなイメージですね。
だから、日干が身弱の場合など、ちょっと弱いと偏官の性質が強く表に出ることになります。
頑固すぎたり、破壊的になったりするんですね。
ただ、この偏官の抑制力や破壊性などは、辛いことを耐え抜く馬力にもなります。
偏官がある人は、弱音を吐かずに突き進んで行けたり、強いバイタリティーの持ち主です。
やると決めたら貫く力強さや、どんな状況でも這い上がっていく根性があるタイプとなります。
星の使い方次第で、諦めずに夢を叶えるエネルギー源になったりします。
偏印は凶星?
偏印も傷官に並ぶ、凶星として有名ですね。
偏印には、倒食・梟神といった異名があります。
通変星の位置関係で見ると、吉星である食神を偏印が剋すことになります。
食神は、財を生み出す源でもあるので、その食神を傷つけるということは、お金の源が絶たれるということ。
だから、倒す食と言われていたんですね。
また、梟神とはフクロウを意味しています。
フクロウは、江戸時代以前は不吉な鳥として、人々から恐れられていました。
夜行性で肉食、獲物を木に突き刺して保存しておくなど、ちょっと怖い習性もあります。
自分の親を食べてしまうというような言い伝えもありました。
そんなフクロウのイメージを、偏印の星にあてていたということですね。
偏印は、独特のセンスやちょっと変わった思考の星。
今ほど自由ではない昔の人からすると、ちょっと変わったことをする人、はみ出た人はフクロウのように見えたのかもしれません。
そんな、偏印ですが、その独自性がカリスマ性になることもあります。
人とはちょっと違った視点から物事が見られる、独自のセンスが光る人でもあります。
食傷星は表に出る才能、わかりやすく見える表現力ですが、偏印はちょっと違います。
隠された才能、秘められた才能で、本人も気がつくまで時間がかかることが多いです。
芸能人、スポーツ選手など、華やかに活躍している人は、偏印を持っていることが多いです。
劫財は凶星?
劫財は力づくで、財を奪いにいく星と言われてきました。
通変星の関係で見ると、財星を剋する位置にあります。
強奪の神と呼ばれていた星でもあります。
劫財の「劫」には、滅ぼすという意味があり、財を滅ぼす星とされてきたんですね。
劫財は自我の星ですが、自分の財を剋すだけでなく、他社の財まで貪欲に奪いに行くという意味もあります。
劫は、「億劫」という単語にも使われていますよね。
いかに、少ない労力でお金を手にするか?
最短ルートで行きたいという、面倒くさがりだけど欲張りな星といえます。
劫財を持つ人は、がめつい、欲張りなどと言われます。
でも、日干を強める星なので、多少強引であっても目標に向かってひた走る力も秘めています。
強引さが、リーダー気質に成り代われば、前向き・積極性がある人となります。
簡単には諦めない、人をうまく使って成功に導く力も持っているということになります。
このように、通変星には陰陽両面があり、星の意味も一つではありません。
たくさんの意味があるので、吉星・凶星と分けて星を考えるのではなく、色々な角度から考える方が実用的な四柱推命になります。

